闇の中に
隠れていた
鴉は
こちらを向いて
声を発した。
白昼の光を背に
漆黒の姿を
現すのを
それまで
恐れていたのだ。
「僕は
本当は
暗闇が好きな
訳ではないのだ」と。
本当は
陽の光を浴びるのが好きな
白鳥に
憧れていたのだと。
何よりも
朝日の光を浴びて
透明な湖の上で
目覚めるのを
夢見ていた、と。
この黒い羽根の姿が
僕を暗闇へと
導いていった。
もうそこからは
逃れたいのだと
鴉は言った。
「本当は日中に、
陽の光を浴びて
堂々と生きていきたいのだ。
闇に隠れて生きているのではなく。」と。
0 件のコメント:
コメントを投稿