2025年4月20日日曜日

Sleeping in the dust bins..

 少年は女性が店の中に入って行った後、

怖くなってその場所を離れた。


そして猫が消えて行ったであろう暗くて細い路地裏に向かって駆け込んで行った。


猫はすぐに見つかり、「にゃお」と言いながら

少年をある場所へと導いて行った。


それは大きな「Dust bin (ゴミ箱)」のある場所。

イギリスではこのような上から開け閉めできるプラスチック製のゴミ箱に家庭ゴミを入れて

そこに収集に来る。


猫はその場所が狭くて暗くて、人から見えず安心できる場所として好きであった。


少年はその場所は、よじ登って入ることのできる場所でも

やはり臭いのが嫌であった。

自分にも臭いがつくし。。


でもさっきの女性が「おーい!坊や!」と遠くで叫んでいるのが聞こえて、

怖くなってそのDust binの中に猫と一緒に隠れた。


「にゃおん」と鳴きそうになる猫の口を押さえながら。

彼女の声が遠ざかっていくまでじっと待っていた。


少年はあの後店で女性と店主が口論になっていなかったかどうか

気が気でなかった。。


もう売ってくれなくなるのも困るが、

それ以上に店主は暴力的だった短気な父親像を思い起こさせた。

いつも何で爆発して暴力を振るうかどうかわからない父親。


そんな父親の罵倒する声が店主の声と重なって、

怯えながらゴミ箱の中で震えた。

「もうやめてくれ」と心の中で叫びながら。


外は雨が激しくなって、

その日はもうそれ以上外には出れなさそうだった。


お腹の空いた少年は「くう」とお腹がなった。

横ではグルグルと喉を鳴らした猫が少年の顔を舐めてくれる。

初めて味わった「家族」のような感覚だった。


そして少年はぎゅっと猫を抱きしめた。

少年が気遣っているのがわかったのか、猫も嫌がらなかった。

するとずっと少年の腕の中でグルグルと言い続けた。

猫もきっとあったまってきたのだろう。


臭くて汚いゴミ箱の中がまるで天国の中の温かいお家のようだった。


「マッチが消えませんように。。」と少年は願った。

そして雨音が激しくなるにつれて

まるでその音が子守唄のように

少年を夢の中の世界へと誘った。。

今は存在しない母親のいた頃の「しあわせな日々」を夢見て。


少年が買おうとしていた保存のきくミルクは

いつもこの猫と一緒に分け合っていたものだった。

そのミルクだと、長持ちもするし、少年も猫もお腹の足しにすることができたからだ。


お姉さんはまだ少年を探していた。

辺りはすっかり暗くなって人通りもまばらになっていた。

手にはまだその「ミルク」の箱を持って。


彼女は結局少年を見つけられずにその日は帰った。

翌日また”いつもの場所”で、会えることを願って。



" When the river knows part 2 "

Asylum

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