2025年4月20日日曜日

The Next Day - " One Fine Day "..

翌日、お姉さんはまた

仕事の合間のランチ・ブレイクに

少年のいるCovent Gardenの街角までやって来て

遠くから少年が唄う姿を見ていた。


少年はいつもの場所で少し唄った後、

少しその場所から休憩を取りに立ち去った。


そして彼女は、直接渡すのは少年のプライドを傷つけるかもしれないと思って、

ミルクの箱を少年の歌っていた目の前の

小銭が置いてあった場所のすぐ横に急いで置いて、

少年が帰ってくる前にと、そこからすぐに立ち去った。


すると少年は近くのグロッサリー・ストアから帰ってきた。

そして着いてみるとビックリした。

そこには今日自分がやっと手に入れることのできた

昨日買い損ねたミルクと同じ箱が置いてあった。


少年は自傷しながらフッと笑った。

「きっとあのお姉さんがきたのだろう。」とそう思った。

そう思って遠くに目をやると

お姉さんの着ていたのと似たトレンチコートの裾が角を曲がるのが見えた。

「他人の空似かもしれないけど。。」

でもきっと彼女のような気がしたのだ。


「ミルクの箱が二つになったよ。」そう言って彼は猫たちにも分け与えた。


「世の中にはまだこんな自分のことを気にかけてくれる人がいるんだな。。」と

ふと少し優しい気分になれた。

そして昨日彼女からもらった2ポンドで、ビスケットも一箱買えることができた。

いつもは美味しくない長期保存ミルクも今日はそこに少しビスケットを浸して食べると美味しかった。

分厚いロンドンの暗い雲の間から、一瞬明るい光が差した気がした。


「気のせいかもしれないけど。。」

でも少し少年は自暴自棄で自虐的だった気分から少しは解放され

明るい兆しが見えた気がした。

「ほんの一瞬だけ。。」


そして今日は少しだけ明るい気分の歌を歌おうかとも思った。

それが長続きしないかもしれないとは知っていながらも。。


「こんな僕でも夢を見てもいいですか?・・」と

少年は小さく、そう小声で言った。



" One Fine Day "

Gazelle

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