2015年4月10日金曜日

「黒猫少年とアリス」6

ある日その仔猫の一匹が
「にゃー」といいながら
公園の中央にある
「大木」の方にまっしぐらに近寄って行った。

その「根元」の方にある
あの暗い「あなぐら」の方向にである。

その前でしばらくないているので
?と思ったアリスは
そちらの方に近づいてみる。

「かさっ」という音がしたような気がしたが
「気のせいかな?」と思い。
数メーター先からその「あなぐら」の中を
覗いてみたが、
中は真っ暗で何も見えない。

しばらくすると、猫も興味を失って
アリスの方に頬ずりをするようになってきたので
そのまま抱きかかえて
元いた
他の仔猫たちのいる
「日当たりのいい」方へと
戻っていった・・

「黒猫少年とアリス」5

アリスはまだこの土地に来て
新しかったが、
近くに桜の咲く公園があるというので
見に行って来た。

ひさしぶりに見る「桜の木」は
それはそれはうつくしくて、
公園の真ん中には
大きな桜の大木が咲いている。
そこの根元の辺りには小さな「穴」が開いているのだ
その奥は深そうだ・・

アリスはいつもそこの木が見える
公園の入り口付近にある
桜の木の下で遊んでいた。

そこは日当たりもよく、
まだ半分仔猫の
可愛い野良猫たちが数匹いつもいて
アリスのいい
「遊び相手」になった。

アリスもひとりぼっちで暫く長く暮らしているが
いつも何かとこういった「おともだち」を
行く先々でみつけているので
寂しくはなかった。

その日は天気も良く、
この日当たりのいい場所の桜は
花を開き始め、
桜ももうすぐつぼみから
一斉に花が咲く手前で
これからの「春」が来る予感を
させていた・・

「黒猫少年とアリス」4

「僕」はここに居る限り
今の処
「何」の不自由もなかった。

贅沢さえ求めなければ、
毎日必要な事は給仕が世話をしてくれる。

そうだここが「暗闇」だという以外は
大概の事は「満たされて」いる。

いや、そうに違いない。

もっと他に生きる方法はあったのかもしれないけれど・・
今の僕にはきっとこれで「しあわせ」なのだ。(と思う。)

でも少女の姿を毎日のように見ているうちに
また、彼女のように、日の当たる場所で
遊んでみるのも
悪くはないのではないかと
ふと、思うようになって来た。

そして彼女はまた
夕暮の時間帯になると
「あ、ママが晩御飯を作っていた時間だし、お家に帰ろっと♪」
独り言のように言って
猫に”さよらな”をして、
帰っていくのだ・・

「黒猫少年とアリス」3

その日は
何とか気づかれなかったが
あくる日も天気がよかったので、
彼女は遊びに来た。

僕は一体
何年ここに暮らしているんだろうと
思ってもみるも
すっかりもう
歳月の事は忘れてしまった。

毎日のように僕の身の回りの
世話をしにやって来る給仕達と顔を合わす以外
外の世界にも
かなりの間興味も失くしてしまっていた・・

この春に、「少女」がこの公園に
遊びに来るまでは

2015年4月9日木曜日

「黒猫少年とアリス」2

木の節の大きく開いた穴から
毎日来るようになった、
彼女の遊んでいる様子を
眺めていたら、

翌日、
一緒に遊んでいた猫が「僕」の存在に気づき
近づいてくる。

最初は猫が
「にゃん」と近寄り
躰を木の根っこの皮に擦り付けて
「ゴロゴロ・・」と言っている。

そして
それを「ふしぎ」に想った少女が
近づいてくる・・

そして僕は
思わず
躰をのけぞった・・
「彼女」にその姿を
知られないように・・

「黒猫少年とアリス」1

最近いつもは来ない
「女の子」が遊びに来るようになって来た。
「桜」の木の下で。

「僕」はこの桜の大木の中で
長い間暮らしている。

「人」とも久しく話していない。
交代交代で世話をしに、やってくる僕の「給仕達」以外は。

外の世界とも
興味をなくなって
久しく経つが、
この「少女」はいったい何をしているのだろう?と

最近、桜の花が咲くようになってから
その下で遊ぶようになって来た。

近所の野良猫たちと一緒に
勝手に一匹一匹に名前を付けながら
世話をしながら
一緒にひとりで遊んでいる。

なんだかあれほど
「一人遊び」をしても
愉しそうにしている「少女」を
長らく見たことがないと・・

エンディング(先出し) 「黒猫少年とアリス」

「 君はまるで月に隠れた太陽のようにどこにいってしまったのか?と・・ 
君は僕を追いかけて来たのかとおもいきや、すっかり追い越してしまった。 
あまねく光を天に轟かせながら、僕の存在を隠すほどに光り輝く。 
白昼にはすっかり君の光の下で身を隠し、
君の光を反射して闇の中で光り輝くことしか知らない僕を忘れてしまったの? 」と。

(春の皆既月食をひとり終えた)月の独り言。