2013年9月11日水曜日

さなぎの中の「蝶」

「どうしてあなたはいつも

”あの少女”を

鳥かごの中に飼っているの?・・」

と”わたし”は聞いた・・

それは

あの17歳の姿のままをした”わたし”がいたからだ。。

「あの時」と同じ

「か細い声」をして

「語っている・・」


それは

”黒い”大きな

隙間だらけの

”大きな”鳥かごだった。。

部屋の中は「暗くて」

少女の前の扉は

「開いていたけれど」彼女は

その中に設置された

「ブランコ」の上に

「座っていて」

「そこ」から

「動こうとは」

しなかった。。


「彼女に水と餌をやって。

一週間に一度やっておくと、

「そのままで」長生きするから・・」

そういって、

私に

「頼もう」とした。

一週間分の命の「菜っ葉」をわたして・・


私はもう

”あぜん”としてしまって

「こんなことをしてどうなるの?・・」と思わず

「聞いてしまった・・」


すると「彼」は

「このままでいるとずっと”飛び立たずに”

僕の横にいて、あのか細い声で

”あなたが必要。。”と言ってくれるから。。」と言った。


吃驚して目を開いてしまったが

彼女が「もぬけの殻」なのは

「目に見えて」当然だった。。


「彼女」は

自分のか細い黒と白の入り混じった羽根が折れて

「長い」羽根の先を下ろして

それを重たそうに引きずりながら

「座っている・・」


そして時々その「菜っ葉」を口にくわえて

「おいしい、」と言っているのだ。


「彼女はこうやって”面倒をみてると”

「僕のことを”好き”。といつまでも言ってくれるんだ。。」って

言った。。


私は彼女が言っていることが、

「お家に帰りたい。。「お母さん。」」と言っているように

聞えるのに・・」と思った。


でも時々「彼に向かって」

「ありがとう、菜っ葉をくれて。」と「お礼」を言っていた。

「ぺこり」と頭を下げて。


でももう彼女は「もぬけの殻」だった。

17歳の「少女」の形をしていても、

もうそこの「中」にあるはずの、

「蝶」の形はもうなかった。。

「もうとっくの昔に」飛び立ってしまったから。。


「その中」に「少女」が昔もっていた

「赤い」カセットレコーダーが入っていた。。

「少年」はそれを幾度も繰り返し繰り返し「再生」していて

「彼女」の声を聴き直していた・・

「あの時」と同じか細い「囁き声の」

「彼女」を。。


「あなた、もうこの子はここにはもういないのよ?

知っていた?・・」と

”聞いても”

あなたは「向こうを向いて」

”無視”を続けるだけだった・・


おとなになった”彼”は

「暗い部屋でずっと

17歳の彼女を「飼い続けていた」」


「僕の彼女なんだ・・」

”少年”はそう言って、

「薄ら笑い」を

浮かべていた。。

「かわいいだろ?」って

いって・・

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