2013年6月3日月曜日

Alice standing in the corridor.. ~ within the Crystal Light.. ~

アリスは病院の白い壁に囲まれた廊下の中で、パジャマを着てすっと立っていた。
ノリアキが病院について、母親と一緒にレセプションでアリスの事を聞いている時だった。

だれか”先生”のような人と話してるようだった。。
母親はさっきより、レセプションの人にアリスのいる場所を確かめながら、やっぱり「怪訝そうな」顔をしている。

アリスはその人たちと必要な会話をひとしきり話した後、横を向いた。Noriが彼女の姿をみつけて、”はッ”として、じっと無言で見ていた時・・
”彼女”はいつものような頭のてっぺんの水色のリボンをつけずに、髪はまっすぐ下ろしたままで、いつもふくらんだスカートではなくて、 すっとしたかんじのパジャマを来てスリッパをはいて立っていた。

彼女の向こう側からは、病院の白い廊下に反射して、クリスタルのような、Noriの瞳を眩ますような、”透明”の光が目に入って来て、彼女の姿が一瞬逆光で見えなくなった・・

”はっ”と気づいた時、一瞬アリスが消えたのかと想ったけど、またこっちを向いて、一瞬間をおいてNoriに気がついてから、「Nori君!!」って吃驚したように声を上げて、手を振って来た。
それに母親も気づいた。
アリスは大分痩せたようだ・・ でも”想ったより”はまだぜんぜん元気そうで、ちょっとは安心した。

Noriの母親が方向音痴でかなり遠くまで行きすぎてしまったのと、その先で”ランチ”をしてから廻って来たので、ずいぶんと来るまでに時間が想ったよりかかってしまって、朝に出たのに面会時間のぎりぎり近くになってしまっていた。
Noriも母親の方に目をやって合図をしながらも、アリスの方に母親が後から来るのを待って、近づいて行った・・ 「だいじょうぶ?・・」そんな言葉しかかけられなかった。

アリスはわらって「うん、Nori君の顔見たら、元気になって来た・・」といって、いつもの満面のやさしそうなほんわかした笑みを見せて笑った。それを見たNoriは、やっと胸につかえてた心配の想いから解放されて、ほっと、胸を撫で落とすことができた・・

「ああ、Noriくん、心配性だから・・w」って言って、ちょっと無理してるようにもとれるかんじで小さい声で笑ってみた。

そんなアリスを見て、Noriは頭のうしろに手をまわして、少し髪に触って、「想ったより元気そう・・」と言って、ちょっとなでおろしたついでに気持ちちょっとアリスを引き寄せてみた。

触るとやっぱり、アリスは大分痩せてしまっているのがわかった。
でも自分でもまだちゃんと立ててるから、大丈夫なのかも、とも想ったり・・ 想ったよりかは、だけど。。

「ここに来て、ずいぶんよくなったよ。」ってアリスが、ちょっとはにかむように笑ってみせた。
「なんか親がここに入れたかったみたいだし・・」とかちょっと下を向いて、陰のある瞳で付け加えながら、さびしそうに。少なくともNoriにはそう映った。。「そう・・」と言って、後ろの母親がちょっと下がって様子をうかがってるのが見えた。

「あ、アリス。。」ってやっと紹介して、アリスもNoriの母親に初めて会うので、「こんにちは。はじめまして、アリスです。w」って自己紹介してみた。
Noriの母親は”こういうところ”に来るのは初めてで、Noriからもアリスの症状なんてことをひとつも聞いていなかったから、ちょっと最初は硬直して躊躇っていたが、「どうも。」といって「体の方、だいじょうぶ?」と言って気遣ってみた。”笑顔が透明感があってやわらかくてかわいい子だな”と想った。なぜかどこかやはり、ノリアキとも似てる気もした。母親から見ても・・
「ノリアキ君のお母さんもノリアキ君と似てますね。Nori君と同じく美人だしw」って、また最初にNoriに逢った時みたいに褒めていた。でもアリスの”褒める”のは、ぜんぜん”うら”がなくて、しぜんとそう想って出てくる時のみに褒めるから、まるで”イヤな気”はふたりとも全然しなかった。
”ふッ・・”と笑いが漏れて、ノリアキの母親も”ありがとう。。”って笑顔になって言ってみた。

「今日はもう面会時間終わっちゃうから、また今度来て。」そう言ってアリスは、市内の中央駅からも送迎バスや、公共機関のバスとかでもこれちゃうよ、って紹介した。
それに今日は先生たちと「カウンセリング」が入ってる、と言った。

もう一度Noriの方を見て、ニコッとしながら、「今日は来てくれてありがとう。」ってNoriのおでこにそっとキッスをしてみた。。(アリスは外国帰りなので、ちょっとそういうアイサツ程度の事をよく自然にやる。) ちょっとそれには母親の前っていう事もあって、かなり照れてしまったNoriだけど、「ううん、全然平気だよ。また学校帰りにでも来るし。。」って言って、今度は母親と一緒に、また名残惜しそうにアリスの方を向きながら、先に帰って行ってしまう母親もちらっと気になりながら、アリスが手を振っているのをみて、自分も手を振りかえしていた・・

「親にこんなところにいれられちゃうなんて・・それもあのアリスのオヤジって・・なんなんだろう。。」なんか悔しい想いと、アリスがちょっと体の調子も悪いのに、ひとりでこんな所にいれられてしまうのは、とても”憐れ”で哀しい想いになり、ずっと入口までそんなアリスがNoriをじっと、廊下の真ん中でときどき手をそっと小さく振りながら、見送ってるのを、最後まで見えるところまで後ろをずっと振り返りながらみていた・・廊下に差し込む反射光の光が夕日に変わっていって、色がその色に変わっていくアリスを見て、「なんて水晶のように透明で線の細い子なんだろう・・」って まるで自分みたいな、”ぶんしん”のアリスを心に感じながら。。
”ふと目を離したら、その隙に光の中に消えて行ってしまいそうな・・”そんな気がして、最後まで目を離さないようにしていた・・
 ”細い体で一生懸命ひとりで立ってるプリンセス”、そんな感じのアリスの姿を心に焼き付けながら、心に最後まで留めて。 そんなアリスの姿をじっと見ていると、じんじんと”心”が痛む気がした。


- Looks as though she's fading into the reflection of Crystal Light.. 
and about to disappears.. for "Nori"'s eyes. -

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