「Nori君。。」アリスは、そんなNoriの気持ちを心では感じていたけれど、それ以上ことばが出なかった。
いつも自分は母親に”とっても愛されていた”と感じていた、やさしくて繊細な心を持ったNoriにとっては、お母さんに叩かれたことは、相当ショックだったに違いない。。 だけどアリスやGOLDにはそんな自分達を「愛してくれる」両親さえ、もう存在しなかった。。
「それでどこに行くつもりなの?Noriは”おかしく”ないから、僕たちみたいにここの”病院”にはいれないし。」ってちょっと皮肉った感じでGOLDは言ってみた。。
そしたらNoriが、
「近所の仲良くしてるお兄ちゃんから”いい話”を聞いたんだ。・・みんな”あの森”には大人は行くなと言うけれど。。ホントはとっても”おもしろい世界”が広がってるんだって。。だから、前から僕、行ってみたかったんだけど、思い切って一緒にあの”森”の向こうにいちど冒険に行ってみない?」って、急にいつも病院の白い壁の奥の鉄柵の扉の向こう側に広がっている、”深い”緑の、入り口は明るくても、奥が暗くなっているように見える”森”を指差して言った。。
アリスは一瞬”え!?・・”と想って、そして言った。。
「でも、それはいつも”先生”や”看護婦さん”達が、”あそこ”は絶対子供だけでは入っちゃいけないって。。」
「それにあそこはとってもあそこはとっても危ないから、院長も守衛も”入るな”って言ってたよ。。」って、いつもは勇気のあるGOLDまでも、そんな気弱な返事をしていた。
ふたりは「いつも”大人達”から聞かされてる話」でとっても怖がっていた・・。
「・・で、そのお兄ちゃんは何て言ってたの?」ってGOLDが恐る恐るNoriに聞いてみた。。
するとNoriは、
「うん、でもね、”あそこは”ほんとうは大人たちが言ってるのとは全く逆の、”とっても楽しい”世界で、それは大人たちが僕たちに行かせないようにしている、”全くのウソ”だっていうんだ。。」
ってNoriは言ってのけた。
「へえ~~・・・そうなの?・・」なんだか、まだアリスは半信半疑だったけど、なんだかちょっとNoriの言葉に、”え?・・もしかして本当はそうなの?・・”っていう興味が少し反対に湧きだして、絵本で見たことのある、色んな見たことないような動物たちが、木陰から見え隠れしている様子が、目に浮かんで楽しくなってきた・・
「なにが一体あるんだろう、あそこには。。」アリスはまたNoriに聞いてみた・・
「わからない・・でもなにか”とっても楽しくなることが”いっぱい詰まってる場所だって言ったよ・・
一度行って来た人が笑いが止まらなくなるほど楽しかったって。。そして大人はいつもその”そのとっても楽しいことを”僕たちに隠そうとして嘘をつくって・・」
するとGOLDがとつぜん、
「もしかして”僕たちがおかしい”っていうのも、あの”大人達”がでっちあげた”嘘”なのかもしれない!!」って突然声を上げた。。
「え!?」ってアリスは一瞬思ったけど、少しして、GOLDの言ってることも、なんとなくもしかして「なるほど、そうかな?・・」って。
「もしかしてあの病院の院長や看護婦さん達は、僕たちがおかしくないのに、”親たちに”頼まれて、ほんとうはおかしいのは向こうなのに、”お金”を向こうに貰ってるから、知っててここに無理矢理僕たちに狂人の振りをさせて、入れているだけなのかもしれない・・・!・・」ってGOLDがつづけた。
アリスはなぜか長年、親から「お前はおかしい」と言われ続けたことを想い出して、なんとなく長年頭をぐるぐる回っていたその「ことば」から解放されたように、
「なんだか、わたしもそんな気がしてきた・・・」ってGOLDに同調して、思い出してきた。。
Noriがそんな言葉を聞いて、わくわくしてきちゃって
「じゃ、決行はいつにする?」っていったもんだから、
今度はGOLDが、
「今日はまだ準備ができないから、明日のランチのあと午後一とかはどうだい? 守衛さんも昼食のあと、油断して寝ってたりするし。。それに看護婦さん達も昼休みの交代で手薄だし・・
Noriはここに荷物置いといて、お母さんには云わずに、明日戻って来いよ。。」って言って。。
Noriは
「うん、明日は学校昼までだから、その頃にはこれるね・・」って、
アリスの方にちょっとウインクしながら、言ってみた。
アリスはアリスで、そんな冒険にこの三人で出掛けれることにワクワクしてきたけど、
やっぱあの「奥が暗く」みえる森の中に入って行くにはちょっと不安だった。
そう言って、Noriはまたアリスの眼を見ながら、おでこを恥ずかしながらも、そっとやさしくさわって出て行った。
「明日が楽しみだね。。」そういってGOLDもそのはやる気持ちが抑えられないようだった。。
「今日は明日あの守衛さんに呑ませる為に、睡眠薬のまずにねようぜ・・」ってちょっと、元気になって、ニタッとわらいながら、アリスに目くばせして合図した。。
アリスはちょっとそのGOLDのアイデアにびっくりしたけど「OK・・」って小声で言って、また目でそっとGOLDに合図を返した・・
これからつづく、深い森の中への長い”アドベンチャー”の旅路がすでにこの日始まりを告げていたことをこの時まだこの三人は知らなかった。。
ガイダンス:" In My Wonderland "
<本編第3章>
no.21"おかあさん・・ A Tiny broken heart of Nori "
http://mthroughthelookingglass.blogspot.jp/2013/06/a-tiny-broken-heart-of-nori-in-my.html
no.20 " What happened.. ? "
http://mthroughthelookingglass.blogspot.jp/2013/06/what-happened-in-my-wonderland-no-20.html
no.19 " Dream in "Wonderland" still continues... GOLD speaks out of his mind.. "
http://mthroughthelookingglass.blogspot.jp/2013/06/dream-in-wonderland-still-continues.html
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